はじめまして
熊って怖いですよね
動物園なんかでのっそり歩いたり眠ったりする姿やヌイグルミなんかは可愛かったりしますが、山などで実際に出会ったら多分何も出来ないくらい震え上がります
今回鑑賞したのはそんな熊の恐怖を描いたコチラ
「グリズリー・レイジ」
〈あらすじ〉
大学進学を目前に控え、最後の思い出を作りに友人とキャンプに出かけることになったローレンら4人
キャンプ場へ向かう途中、立ち入り禁止区域に行ってみようと提案され、気が進まなかったがそれを承諾する
フェンスで囲まれた禁止区域でのドライブを楽しんでいたが、グリズリーの子供を引いてしまう
そこへまずいことに親グリズリーが現れ、彼らは襲われることに……
配給はアルバトロス株式会社
あっ……(察し)
「実際に熊に出会うと夢も希望もない」ことを教えてくれる映画です
禁止区域をかっ飛ばす車
調子に乗った運転が悲劇を呼ぶ
まず良かった点
本作、カメラワークや役者の演技、そして肝心要の熊そのものは中々良かったと思います
(環境映像からの流用かもしれないけど)
少なくとも舞台に違和感がない程度には熊と画面が馴染んでいました
また『携帯が圏外』『車が故障』などで屋外でありながら実質密室状態を作り上げ、舞台を固定化する違和感を無くそうとしていることは工夫がしてあると思います
森の中だけ、という条件ながら昼夜使って登場人物を各々動かすことで場面を細かく変えてあるので、面白いかどうかは別としてまぁ飽きずに見ることは出来ました
80分ほどの映画なのでサラッと見ることが出来る点も良いと思います
故障した車
ここをキャンプ地とする
そして問題点
まず「熊と人が同じ画面に映らない」こと
いや人間と熊を同じ画面に映すのが難しいのは分かるけども
熊の襲撃シーンは全て
「熊のアップ」→「襲われた人物が逃げ惑う姿」→「熊のアップ」の繰り返しです
つまり別撮りの熊と人を交互に映してるのが初見でも分かります
緊迫感も何もありゃしない
「あれは熊だ!」みたいに騒ぐシーンもそんな感じなので「熊に襲われている」感がイマイチ出てきません
モンスターパニック映画でモンスター登場シーンが盛り上がらないんですよね
(ちょろっとだけ着ぐるみっぽいのが出たりはするよ)
今作のモンスター役 グリズリー
ソロパートを数多く担当している
あと「登場人物に全く感情移入出来ない」
ここが見ていて引いちゃう、というか全体をイマイチ冷めた目で見てしまいました
車の故障の原因は仲間
熊より酷い被害を出します
そして仲間の一人が「俺が15km先まで助けを呼びに行く」とか言い出すのも
「長いけど全員で逃げれば良くない?」
って思いますし
(彼はその後熊に襲われ、足の骨を折られながら1km先の車まで戻ってくる)
別の男が「あっちなら携帯が通じるかも知れない!」
って一旦崖の下まで進んで別の崖登って携帯通じなくてオーマイガー!って叫ぶのを長々やったり
「さっき見つけた小屋に熊用の罠があるんだ」
って数時間経ってから言い出したり(すぐ言えよ!)
熊を小屋に閉じ込めるも後ろでガンガン扉歪んでるのに
「俺たち助かったんだ!さぁ帰ろう!」
とか勝利宣言したり(扉から今にも熊が出てきそう)
「コイツらは何をやってるんだろう」って場面が多かったです
熊を閉じ込めた主人公たち
後ろの閂はメキメキ音を立てて歪んでいる
そしてバッドエンドで終わる
というのが個人的には評価を下げています
いや、別にバッドエンドでも問題ないんですよ
ただこの作品本当に「熊と出会って襲われて死ぬ」という流れを登場人物全員分やって終わる映画なんです
最後の小屋のシーンも「抵抗むなしく死ぬ」というだけで
映画的に見て全く面白くない
「携帯使えない」「熊の知識ない」「車は故障」「仲間は次々と減る」って縛りプレイして
結果成すすべ無く負けた、みたいな感じ
監督が
「熊と出会ったらどうしようもないよ!」
ってことを伝えたいなら成功しているかもしれませんが見ていて面白いかは別
たとえばこれが
「小屋には前の住人が残していたガソリンが残っていて、熊を閉じ込めた主人公たちは小屋ごと焼き払う。もうもうと立ち上る煙を見つけた警察のヘリコプターが立ち入り禁止区域に操作に向かうよう通信が入る」
みたいなご都合主義丸出しのラストだったとしても
ある程度は面白かったな、ってなったと思うんですよね
ハッピーエンド、バッドエンドの是非ではなく「80分使って最後に見せたのがアレかい!」ってならないのは大事
総評としては
「全く見れないわけではないが色々と薄すぎる」映画でした
ネタになる部分もさほどなので皆の話題にするにも退屈かもね