はじめまして
最近暑くなってきましたね
寝苦しい夜をヒンヤリさせるためにホラー作品などいかがでしょうか
今回見た作品はフリーホラーゲームとして有名なコチラ
「青鬼」
〈あらすじ〉
人気フリーホラーゲーム「青鬼」の実写映画版。ゲーム制作を得意とする高校生シュン。
彼は転校先でも馴染めず、卓郎にいじめられていた。
主人公の杏奈はシュンの作った脱出ゲームを遊ばせてもらうなど、彼の事を気にかけているも中々事態を好転させるには至っていなかった。
ある日、卓郎と彼女の美香、仲間のタケシに連れられ化け物が出ると噂の洋館「ジェイルハウス」にやってきたシュン。
彼を追いかけてやってきた杏奈は、そこで全身真っ青の化物に襲われ……。
こんな感じです。
実は僕1回も青鬼を実際にプレイしたことないんですけど実況プレイ動画は何回か見たことあるので人物の関係や謎解きは大体分かります()
登場人物の卓郎、美香、タケシ、ひろしは原作からの登場ですね
卓郎と美香はいじめっ子で早い ver での性格に近いのかなと
タケシはビビリ。「なんだよタケシ、ビビってんのか?」や閉じこもってガタガタ震えるシーンも再現されています
原作ゲームだと主人公であるヒロシは虫の研究(?)でジェイルハウスに勝手に訪れており、好奇心から一緒にジェイルハウスに入り込む変わり者として描かれていました。
正直一番ヒロシの扱いが微妙です()
映画オリジナルの登場人物であるシュン、杏奈が今作の主役
(パッケージの2人。青いヤツらではない)
最序盤にシュンが自作の脱出ゲームを杏奈にプレイさせ、感想を聞いているシーンから二人が分かれ、卓郎が登場してシュンがいじめられる〜って流れがあるんですが
ここが個人的に上手いんですよね
最小限の人数しか出てないのに関係性は分かるようになってるというか、杏奈もイマイチシュンに対して深く突っ込みきれてない感が出てて妙にリアル
シュンも杏奈もキャラクターとしてはペラッペラなんですがまぁこういう映画に深い関係を求めるのもなんですし、全然ありなレベルです
本作もう1人の主役 青鬼。本作ではたまに喋る
よくコレをイケメンに出来たな
と素直に感心してしまうくらいには青鬼のCGはよく出来ていたと思います
ともすればギャグになってしまいそうなビジュアルの青鬼をキチンと不気味なクリーチャーへと進化させていました
ただ、僕が考えるに青鬼の一番の恐怖ってビジュアルじゃなくて「何の前触れもなく現れること」にあると思うんですよ
突然現れて、突然追いかけられる。
コッチは何が何だか分からないけど「逃げるしか無い」と本能的に行動してしまうのがゲーム「青鬼」の面白さで怖さだと思うんです
それをこの映画だと「今から出るぞ〜出るぞ〜出るぞ〜はい、出たーーー!!」みたいな出し方してくるんですよ
そりゃ見てる側も心の準備が出来ますよ
青鬼が暴れるのを楽しむ映画ならそれもありかもしれないけど、ホラー映画としてはちょっと微妙な見せ方だなぁと
コレがワンシーンでも原作みたいに
「扉を開けたら目の前に青鬼がいて無言で追われる」
みたいなシーンがあったら見ている方も「次はいつ出てくるのかな」みたいな緊張感があったと思うんですよね
あと本作の青鬼は相当なパワータイプなのでガンガン扉とかぶち破ってきます
青鬼視点で逃げる主人公を追うシーンなんかもあるんですが、飛ぶわ跳ねるわ障害物跳ね飛ばすわでホンマもんの化け物として人を襲います
いや、それ自体は悪いことじゃないんだけどさ
「青鬼でやる必要ある?」
ってのがね……
元々パワータイプよりは頭使うタイプだしね青鬼くん……
それやっちゃうなら普通の怪物映画でいいやん感がね……
話の途中からシュンは「この屋敷は僕が作っている脱出ゲームと同じだ」と気付き、鍵を求めて奔走を始めます
このあたりは、ゲーム「青鬼」の大事な要素である「探索」を再現しつつ、「あらかじめ答えを知っている」ことでサクサク進めていくことには感心しました
「○○の鍵で次の部屋を開ける」「ピアノの鍵盤を拭いてパスワードを入手する」みたいなことを進めるんで場面が変わるのも良い感じです
(こういう1つの場所を舞台にした作品だとよほど上手く見せないと場面同じだと飽きるからね)
原作などのキャラクターや導入は上手いこと「映画にするならこんな感じだろうな」に落とし込めていると思います
青鬼もそれ自体はレベル高いCGで怖い怪物だと思うよ
ただホラー演出としての見せ方と、後述する映画独自の要素との噛み合わせがチグハグな感じでした
決して面白くないわけではないけれど、「青鬼」の名前が無かったらわざわざ見る映画ではないかなぁって印象です
70分と気楽に見られる作品ですし原作の雰囲気は出てると思うから、原作が好きな人は見てもいいかもね
青鬼が暴れている横を通り抜けようとする杏奈
そして以下ネタバレを含む感想
(本作に興味がある方は観てから読んでね)
意図して書いていませんでしたが、卓郎はダンボールを運んでいました。
(ジェイルハウスに来たのもコレが原因だと何となく分かります)
そしてその中には何があるのかと言うと……シュンの死体です
実は彼は映画冒頭で既に殺されており、処理に困った卓郎がジェイルハウスの地下に埋めに来たのです
ここで「今まで館内でシュンと会話をしたのが杏奈だけ(杏奈は霊感がある)」であることや「美香は貴方を呼ばない」と言った発言の意図が明らかになります
この部分は結構見ていて意外で面白い部分でした。「あー。なるほどな」って素直に思いました
ただこれが「実はこの館にいる化け物は殺されたシュンが作り出した怨念、だから館の謎はシュンが作ったゲームと同じ」みたいな事にはならないんですよ
意外な事実でなあったんですけど、それが物語に大きくは関わってこないの勿体無くない?
そしてストーリーはここから
シュンが死を自覚したことで彼は成仏
卓郎は青鬼に襲われ、その隙にヒロシと杏奈は逃げ出します(美香とタケシは既に死亡)
ですが満足に走れないヒロシは自らが囮になり、そして犠牲に
杏奈が逃げ込んだ部屋は突き当たりで外に出ることは出来ませんでした
近づいてくる青鬼……
杏奈はシュンの言葉を思い出します
「どんなにピンチでも自分から行動すれば助かるようになっているんだ」
この館はゲームと同じだと思い出した彼女は、勇気を持って扉を開きました
ーすると、彼女はシュンとゲームをプレイしていました。冒頭の時間に戻ったのです(もしかしたら夢なのかもしれない)
シュンがいじめられているのを感づいていながら踏み込めなかった杏奈
「今度こそは」とシュンに「自分に出来ることがあるなら何でも言って欲しい」と強く語りかけます
ここでゲーム画面に「CLEAR」の文字
悲惨な未来は変えられた……のか?
(そして続編フラグらしき「NEXT STAGE」の文字が)
エンディングへ
みたいな内容です
結局「青鬼とはなんなのか」「なぜ館の謎はゲームと同じなのか」「アレは夢なのか、それともシュンが死んだら起こりうる未来なのか」
みたいな事は明かされないんですよね
明かされないのは原作ゲームで話してないし構わないんだけど「シュンが実は死んでいた〜」のくだりが感心はしたけど面白さに繋がっていないというか
「シュンが死亡したことでジェイルハウスには青鬼が現れるようになった。悲惨な未来を回避するには彼が死なないように選択するしかない」みたいな
いわゆる「無限ループ」ものである可能性もあるとは思うんですけど、そうなると「シュンは何者なの?」みたいなことになっちゃうし、あちらを立てればこちらが立たず状態と言いますか
この要素を入れたことで話がしっかり落ち着かなくなっちゃった、と思うんですよね
ただ70分という時間の中では割とまとまってた作品だと思います。なんだかんだ飽きずに見られました
悪くない作品だと思いますよ
次回作も機会があれば見てみたいね!
(終)